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管理栄養士のチカさん
管理栄養士のチカさん

桑は日本に古くからある植物で、葉が蚕のエサとなることから養蚕に欠かせないものであることは広く知られています。葉だけでなく、果実を果実酒にしたり、根の皮は漢方薬に利用されていたりと、私たちの口に入る素材としても実は歴史の長い植物です。
中でも健康食品に多く利用されている桑の葉について、健康効果を見てみたいと思います。

【桑の葉の成分】
桑の葉に含まれている栄養素では、亜鉛・マグネシウム・カルシウム・カリウム・鉄といった毎日意識していないとついつい不足しがちなミネラル類が含まれています。ビタミン類では皮膚や粘膜の保護に役立つカロテンや抗酸化作用のあるビタミンC、エネルギー代謝に欠かせないビタミンB1、B2といったものが挙げられます。食物繊維も含まれています。
そのほかのうれしい成分として、γ-アミノ酪酸があります。γ-アミノ酪酸はGABAという名前の方が有名かもしれません。抗ストレス効果のある成分として知られています。
フラボノイドの一種では、ルチンやイソクエルシトリンが含まれているとされています。そして桑の葉の主な有効成分としてもっとも取り上げられるのは、「DNJ」です。

【DNJとは】
DNJとは、「1-デオキシノジリマイシン」という桑の葉に特有に含まれている成分です。主な健康効果では糖の吸収を抑制することから、血糖値上昇を抑える効果が知られています。
食事をすれば当然血糖値は上昇しますが、身体にとってはできるだけ血糖値の上下は緩やかな方が負担は少なくなります。私たちの身体は、できるだけ状態を一定に保とうと働くので、血糖値が上がれば血糖値をもとに戻そうとするホルモンを分泌します。もし急激に血糖値が上昇すれば、急激に血糖値を下げようとします。急激に血糖値が下がると、脳はまた食事をしなくてはいけないと思い、再び何か食べてしまいます。この繰り返しは血管や内臓にも負担をかけますし、肥満にもつながっていきます。
ですから糖の吸収を抑制してくれるDNJの効果は、多くの生活習慣病の予防につながる、うれしい働きなのです。

【桑の葉の健康効果】
桑の葉は最近、青汁の素材として人気です。青汁の原料というとケールや大麦若葉が有名ですが、桑の葉に含まれるDNJに注目が集まったことから、よく見かけるようになりました。
けれど桑の葉は糖尿病が気になる方ばかりが利用しているものではありません。
最近の研究では、桑の葉が持つコレステロールや中性脂肪を抑制する効果にも期待が寄せられています。これらは桑の葉に含まれているルチンやイソクエルシトリンによるものではないかと思われます。ルチンはそばなどに含まれていることでよく知られていますが、毛細血管を強くする働きが期待できる成分です。もし毛細血管が弱くなって血管透過性が増してしまうと出血しやすかったり、傷が治りにくかったり、深刻な場合には動脈硬化や高血圧といった症状も起こりやすくなると言われていますので、ルチンの摂取によって毛細血管を強くすることは、動脈硬化が心配な血中コレステロール値が高めな方々へもオススメしておきたい効果です。

【摂取方法】
桑の葉は生で使用できる季節が限られているものらしく、あまり市場に出回るものではありません。健康効果を期待するのであれば持続的な摂取が望ましいものですので、やはり市販のサプリメントや粉末状になったものなどが手軽に継続摂取しやすいと思います。
桑の葉茶はよく見かけるものですので、取り入れてはいかがでしょうか? とくに血糖値上昇を抑える効果を期待するのであれば、飲むタイミングにも気を配って、食事の前と食事中に飲むのが効果的です。
桑の葉茶もサプリメント・健康食品の類も、あくまでも使用した場合の効果は、健康な方を対象としています。くれぐれも糖尿病の方が今行っている治療をこれらに置き換えてしまうようなことのないように、ご注意ください。

【最後に】
漢方薬の世界では、桑の葉は、咳をしずめる・解熱作用・むくみとり・お腹の調子を整える・肝臓を強くする・美肌などさまざまな効果を期待して用いられてきました。なかなか桑の葉そのもので摂取する機会が少ないので、まだまだなじみの薄い存在ではありますが、今ある健康を保ちたいとお考えの方には適した素材ではないでしょうか。