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日頃親しみのある食材であっても、意識しないで食べていると、食材の原料や成分についてよく知らないということがありますね。

「麩(ふ)」も、食べる機会は多くても、その実態が何であるか、ご存じない方もおられるのではないでしょうか。

管理栄養士のチカさん

上手に使えば利用価値の高い食材である、麩についてご紹介したいと思います。

麩(ふ)とは

麩を簡単に説明すると、「小麦のグルテンを取り出したものです」という説明になると思います。

「グルテンフリーダイエット」が流行したり、小麦粉を別の食材に代替して食べたりすることも多い昨今、麩は歓迎すべきものではないのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。

小麦粉は水を加えて練ると、グルテンを形成します。グルテンは、小麦粉に含まれているグルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質から形成されるもので、パンや焼き菓子などがふっくらと膨らむのは、小麦粉がグルテンを形成することで伸展する性質を得るためです。

日頃私たちが非常にお世話になっている性質だと言えるでしょう。

小麦粉に水を加えて練ったものは、小麦由来のでんぷんなども含んでいますが、これを水の中で洗い出すと、モチモチとした物体が残ります。

これがグルテンであり、麩の原型です。つまり麩とは、植物性たんぱく質を摂取するのに非常に適した食材であることがわかります。

 

麩(ふ)の種類

麩は保存食としても古くから親しまれてきましたので、全国各地で焼き方や形の異なる製品がたくさんあります。

たとえば、車麩。輪っかの形をした乾燥麩ですが、これは棒に巻いた生地を直火で焼きながら生地を重ねていったものになります。大きさもあり、非常に吸水性に長けていますので、うま味を持つ汁などをよく吸い料理の中でも存在感を発揮します。

宮城県で使われている庄内麩は板状で、円筒状に焼いたものをつぶして板状にするという、ユニークな作り方をします。膨らまないかわりに香ばしさを感じさせてくれる麩です。

京都や金沢では、飾り麩も盛んですよね。お花の模様などを模して、汁ものの浮きに使われていると、とてもかわいらしくなります。

また乾燥させたものばかりでなく、生麩がお好きな方も多いのではないでしょうか。

和菓子の麩まんじゅうに使われるようなモチモチとした食感が、なんとも魅力な仕上がりです。

麩がいつから使われてきたのかは不明とのことですが、すでに室町時代には精進料理に使われていたとかで、非常に長い間保存食として、また自然食として親しまれてきたことがわかります。

 

麩(ふ)の栄養

植物性たんぱく質を取り出しているものであることに加え、ミネラル分が豊富である点でも利用価値のある食材です。

カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄の補給になります。

生麩 100グラム 焼き麩 板麩
25グラム
焼き麩 車麩
25グラム
エネルギー 163キロカロリー 95キロカロリー 97キロカロリー
たんぱく質 12.7グラム 6.4グラム 7.6グラム
炭水化物 26.2グラム 14.3グラム 13.6グラム
水溶性食物繊維 0.2グラム 0.4グラム 0.3グラム
不溶性食物繊維 0.3グラム 0.6グラム 0.4グラム
カリウム 30ミリグラム 55ミリグラム 33ミリグラム
カルシウム 13ミリグラム 8ミリグラム 6ミリグラム
マグネシウム 18ミリグラム 23ミリグラム 13ミリグラム
1.3ミリグラム 1.2ミリグラム 1.1ミリグラム
亜鉛 1.8ミリグラム 0.7ミリグラム 0.7ミリグラム
0.25ミリグラム 0.12ミリグラム 0.11ミリグラム
マンガン 1.04ミリグラム 0.39ミリグラム 0.31ミリグラム
ビタミンB1 0.08ミリグラム 0.05ミリグラム 0.03ミリグラム
ビタミンB2 0.03ミリグラム 0.02ミリグラム 0.02ミリグラム
ビタミンB6 0.02ミリグラム 0.04ミリグラム 0.02ミリグラム

参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

 

麩(ふ)の健康効果

麩は古くから精進料理に利用されてきたことからもわかる通り、動物性食品の代わりとしてたんぱく質を補給できる食材です。

良質なたんぱく質という観点からは優れている肉などの動物性食品は、同時に飽和脂肪酸の摂取にもつながる点が、現代では生活習慣病の発症リスクという点で懸念されることでもあります。

植物性たんぱく質で良質なものと言えば大豆製品ですが、使い方を工夫すれば麩もその供給源となりうるのです。

加えて、ミネラル分が豊富な点でも栄養価値が高く、エネルギーはそれほど高くない点でも現代人の食事バランスの修正に、ぜひ利用したい食材であると言えるでしょう。

最近では「自然食」という観点で注目を集めることが多くあります。その定義はあいまいですが、いわゆる自然なもの、人工的な手を加えることなく得られるものと考えると良いでしょう。

小麦が本来持っているものを取り出してきたという、シンプルな製造工程である麩は、自然食と言って異論ないのではないでしょうか。

料理のボリュームを損なうことなくエネルギーを抑えることのできる食材として、ある時は肉の代わりに、またある時は主食に代わるものとして利用してみましょう。

なお、グルテンフリーと糖質制限を混同してしまう方もおられますが、グルテンとはたんぱく質のことですので、糖質制限とは別の観点となります。

小麦が主食となる海外ではグルテン不耐症や特定の疾患でグルテンを避けたい方がおられますが、米が主食である日本ではグルテンを制限する効果がどのようなことを指しているのか、いささか疑問です。

小麦特有の性質であるグルテンを避けることが小麦製品に偏りがちな食生活の警鐘となったと考えられます。

 

麩(ふ)の選び方

製品が多くありますので、目的にあわせて使い分けても楽しいでしょう。

たとえば肉の代わりに使いたい場合には、車麩のように水分を十分に吸ってボリューム感の出る性質を活かし、肉にからめるような味付けを施すと肉の分量を減らす、もしくは全く使っていなくても肉を食べているかのような満足感を得ることができ、ダイエットなどに使えるでしょう。

香ばしさを活かしたい場合には板麩のように平たいものを使うと良いでしょう。

乾物は保存性が良いので、いくつか常備しておくと便利です。保存の際は吸湿や酸化に気をつけ、しっかり密閉しておきましょう。

 

麩(ふ)の食べ方

麩は料理にはもちろん、スイーツ代わりにも利用が可能です。特にオススメしたいのが、フレンチトースト風。

たっぷり水分を吸ってくれる性質を利用して卵液を吸わせると、パンにも劣らぬおいしいスイーツとなります。低エネルギー甘味料などで作って、ダイエット中の甘いもの欲求にこたえるご褒美に利用してみても良いでしょう。

板麩は野菜などを巻いて使うのもオススメです。肉巻きならぬ麩巻きにしてタレを絡ませれば、エネルギーを抑えながらしっかりとした味わいを楽しむことができます。

 

麩(ふ)・まとめ

管理栄養士のチカさん

麩という食材をご紹介しつつ、昨今注目されている「グルテンフリー」について見直してみました。

糖質もグルテンも小麦に含まれているものではありますが、炭水化物とたんぱく質という別の栄養素となります。正しい知識を持って食材を選択できるようになりたいですよね。

麩は肉などの代替食品ともなりうる食材です。もし誤解のもと、麩を避けてきたという方には、その利用価値を再認識していただきたいと思います。

 

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