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管理栄養士のチカさん
管理栄養士のチカさん

キチン・キトサンとは
特定保健用食品としても使用が認可されている、キチンやキトサンという成分があります。健康食品として注目を集めたのはほんの数年のことですが、実は中国の古い文献に記載があったとされたり、日本でも民間療法として利用されていたり、私たちとはなじみのある成分のようです。

【キチン・キトサンとは】
キチン・キトサンはいずれもカニなどの甲殻類を主原料とする動物性の食物繊維です。食物繊維は多くが植物性食品の細胞壁の部分なのですが、キチンやキトサンは珍しく動物性で、水に溶けにくい性質の「不溶性食物繊維」の一つです。
キチンとキトサンの違いは、キチンが酸やアルカリなどに溶けないのに対し、キトサンは希塩酸や希酢酸に溶けるという性質くらいで、私たち人間への生体効果についてはあまり区別して扱われることはないようです。キトサンはその性質からキチンよりも利用しやすいので、甲殻類から取り出されたキチンからさらに加工して作られています。

【キチン・キトサンの健康効果】
特定保健用食品の利用として認可されているのは、コレステロール値が高い方向けの製品です。キトサンは構造にアミノ基を持っているという特徴があり、このアミノ基が有害物質を吸着して体外に排泄する作用があることから、コレステロールからつくられる胆汁酸や塩素を体外に排泄してくれると考えられます。その働きによって、血圧や血中コレステロール値を低下させる効果や脂肪の吸収を妨げる効果といった期待につながっていて、生活習慣病予防という観点で期待の寄せられる成分となっています。
この他にも、腸内環境を整えるビフィズス菌の増殖を促進する効果も明らかになっています。さらにはダイオキシンや重金属のように身体に有害なものを除去してくれる効果にも注目されており、さらに研究が進んでいます。
現在キチン・キトサンは、全身の幅広い症状に用いられています。「身体の自然治癒力を高めてくれる」ということで、複数の薬を使う以前に身体そのものの基礎力を高めることができないか、というような考え方で使われてきました。その効果は血中コレステロール値低下や高血圧予防といったことだけではなく、肩こりや不眠といったものにまで及びます。慢性疾患の緩和や、病気にかかりにくい身体づくりをしたい方にオススメの成分なのです。

【不溶性食物繊維の働きについて】
不溶性食物繊維は水に溶けず水分を吸収してふくれることで、腸壁を刺激して腸の運動をさかんにします。便秘を解消してくれることで、肥満の解消、大腸がんのような消化器系の疾患の予防・改善に役立ちます。
排便が促進されれば有害物質の体内滞留時間は短くなります。有害なものが体内に留まる時間が長ければ長いほど、生体へ悪影響を及ぼす時間が長くなる、あるいは悪影響を与える可能性が高まるということですから、当然有害なものは少しでも早く身体から取り去った方がいいですよね。私たちの腸の温度は37度くらいだといわれています。つまり真夏日の気温くらいです。もし真夏の日に生ごみを放置して出かけたらどうなるでしょうか。生ごみが腐敗して悪臭を出している、気持ち悪い状態が容易に想像できます。体外に余分なものを排泄しないというのはつまり、真夏の日に生ごみを放置して出かけることと同じことを、自分の腸内でやっているということです。そこで出たガスなどはまた体内に回っていってしまいます。不要なものは体外にきちんと出すことも、大切な栄養の営みの一つであることがお分かりいただけたでしょうか。身体のお掃除役として、不溶性食物繊維はしっかりと摂りたい栄養素なのです。

【キチン・キトサンの取り入れ方】
キチンやキトサンの摂取方法ではサプリメントや特定保健用食品での利用が目立ちますが、サクラエビや沢ガニといった殻ごと食べられる甲殻類からも摂取することができます。エビを殻ごと食べるような調理法を取り入れるのも良いでしょう。甲殻類にはアレルギーを持つ方も少なくありませんので、食品利用もサプリメントや健康食品の利用についても、その点だけはご注意いただければと思います。
またキチン・キトサンは不溶性の食物繊維で水分を保持する能力が高いので、たっぷりの水分とともに摂取することがより効果的に使用するコツです。

【まとめ】
キチンやキトサンは、私たちへの健康効果ばかりか、食品に加えると防カビや防腐の効果が見られたとか、有機肥料に混ぜると土壌改良に役立つとか、抗菌防臭繊維にキトサンが使われているなど、利用の範囲は広く、期待される働きもたくさんあります。
もともとは、身を食用にした後に大量に残った甲殻類の殻が何かに利用できないかと考えられ、研究が進みました。つまり資源としてはこの先も尽きる心配のいらない素材なのです。今後の研究の進歩にも注目をしていきたい成分ですね。