no

管理栄養士のチカさん

積極的に摂りたい脂肪酸とされ話題のDHAやEPAですが、なんとなく良さそうとは思っていても、実際にどのようなものかご存知でしょうか。

DHA やEPA の、どのような働きに期待が寄せられているのかを紐解きつつ、上手に毎日のお食事から摂り入れる方法を考えていきたいと思います。

DHAとは?その働きは?

DHAは「ドコサヘキサエン酸」と言います。

n-3系多価不飽和脂肪酸に属する脂肪酸で、悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールを減らし、善玉コレステロールと言われるHDLコレステロールを増やしてくれる作用が期待できる脂肪酸です。

その他にも、中性脂肪の合成を抑えてくれたり、脳や神経組織の機能に関わっていたりする働きが注目を集めています。

脂肪酸合成に関わる酵素の活性を低下させる作用があることから、脳血管疾患や虚血性心疾患、高血圧、動脈硬化といった疾患の予防や改善効果が期待できるのです。

また神経組織の発育や機能維持を助けてくれる働きからは認知症の改善も期待されている脂肪酸です。

その他にも、免疫力の向上やアレルギー抑制作用などの報告も挙げられています。

EPAとは?その働きは?

EPAは「エイコサペンタエン酸」と言います。n-3系多価不飽和脂肪酸に属する脂肪酸です。

EPAという呼び名を耳にすることの方が多いのですが、実は国際的にはIPAという呼び方の方が多く使われるようです。IPAもEPAも同じものなのです。

ちなみに、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」でも「イコサペンタエン酸」(IPAのこと)の名でデータが載せられています。

働きとしては、血栓ができるのを予防してくれる効果や、コレステロール低下作用などからも、多くの生活習慣病予防に役立つことが期待されている脂肪酸です。

血栓ができるのを予防してくれるのは、血小板の凝集を抑制する効果や血栓を溶解する作用、血管を拡張する効果があるからです。また血液中の中性脂肪を減らす効果も知られています。

EPAとDHAは同じような食品から摂取できることと、同じような働きをすることからあまり区別して扱われることはありませんが、血液凝固抑制作用がより強いのはEPA、LDLコレステロールを下げる作用がより強いのはDHAだと言われています。

【DHAの健康効果】

DHAが体内の脂質バランスにおいて作用してくれる効果は、LDLコレステロールを減らしHDLコレステロールを増やしてくれること、そして中性脂肪の合成を抑えてくれることです。血中脂質のバランスでは総コレステロールはもちろん、LDLコレステロールや中性脂肪が多いこと、合わせてHDLコレステロールが低いことが問題視されるわけですから、減らしたいものを抑えてくれて、保ちたいものを増やしてくれるという意味で理想的な働きです。

血中脂質のバランスが整うことで動脈硬化は起こりにくくなりますので、動脈硬化をリスク因子とする、脳血管疾患や虚血性心疾患の予防にもつながるのです。同様に、脳血管疾患や虚血性心疾患では、血栓が詰まって起こるパターンもあります。DHAには血小板の凝集を抑制する効果もありますので、この面からも予防効果があると言えるでしょう。

脳ということであれば、DHAは脳をはじめ神経組織に多く含まれています。DHAを摂ることで神経伝達がスムーズになるという効果も期待できます。これは学習能力や記憶能力ということだけでなく、認知症の予防にもつながることです。

【EPAの健康効果】

EPAもコレステロール低下作用があります。また血小板の凝集を抑制するだけでなく、血栓を溶解させるので、いわゆる「血液をサラサラにする」などと言われるような効果は、よりEPAに期待される働きです。このことから、循環器系疾患の予防効果はDHAと同様に、期待できます。

血管を拡張させる作用があることもわかっています。これは高血圧の予防や改善につながる働きです。高血圧も血管への負担をかけることや、その他の生活習慣病のリスク因子となることから、できれば避けたい事態です。しかし食塩摂取量が多めの日本人にとってはとても身近な病態です。減塩やカリウム摂取と合わせて、EPAを摂取するのも良いでしょう。

現代人にとってうれしい作用はこれだけでなく、アトピー性皮膚炎や花粉症、気管支ぜんそくなどのアレルギー症状の予防や治療への効果も研究が進められています。血行を促すので、冷えなどが気になる方にとってもうれしい成分です。

虚血性心疾患や脳血管疾患などと言われても、どうも自分とは遠い話のように感じてしまいがちですが、もっと身近で日々改善して欲しいような症状にも効果を発揮してくれるとなれば、EPAやDHAを含むお魚類も食べてみようと思えませんか?

DHA・EPAが多く含まれる魚

一般的に動物性食品に多く含まれる脂肪酸は常温では固体となる、いわゆる「脂」の、飽和脂肪酸が多いことで知られています。

しかしDHAやEPAはn-3系多価不飽和脂肪酸に属し、他の動物性脂肪とは区別して扱われます。

DHAやEPAは魚に多く含まれますが、魚はたいてい冷たい水の中にいますので、低温環境下でも液状を保つ脂肪を持っているので、肉類をはじめとする動物性食品から摂取できる脂肪とは違う性質になるのです。

より効率的な摂取ができるよう、どのような魚にDHAやEPAが多く含まれるのか、見てみましょう。

・いわし DHA:870ミリグラム EPA:780ミリグラム
・さんま DHA:1600ミリグラム EPA:850ミリグラム
・紅鮭 DHA:480ミリグラム EPA:270ミリグラム
・さば DHA:970ミリグラム EPA:690ミリグラム
・ぶり DHA:1700ミリグラム EPA:940ミリグラム
・まぐろ(赤身) DHA:120ミリグラム EPA:27ミリグラム
・まぐろ(脂身) DHA:3200ミリグラム EPA:1400ミリグラム
・かつお(秋獲り) DHA:970ミリグラム EPA:400ミリグラム
・ほっけ DHA:530ミリグラム EPA:450ミリグラム
・うなぎ(養殖) DHA:1100ミリグラム EPA:580ミリグラム
・鯛 DHA:610ミリグラム EPA:300ミリグラム
・さわら DHA:1100ミリグラム EPA:340ミリグラム
・太刀魚 DHA:1400ミリグラム EPA:970ミリグラム
・かじき DHA:600ミリグラム EPA:110ミリグラム
・あじ DHA:570ミリグラム EPA:300ミリグラム
・あなご DHA:550ミリグラム EPA:560ミリグラム
・かます DHA:940ミリグラム EPA:340ミリグラム
・子持ちがれい DHA:380ミリグラム EPA:800ミリグラム
・銀鱈 DHA:290ミリグラム EPA:480ミリグラム
・金目鯛 DHA:870ミリグラム EPA:270ミリグラム
・ひらめ DHA:290ミリグラム EPA:120ミリグラム
(データは「日本食品標準成分表2015年版(七訂)脂肪酸成分表編」を参考に、生のものについて、可食部100グラムあたりの数値を記載しています。)

こうして見てみると、同じ魚類でも種類によって値の大小があることがわかります。

やはり脂肪酸だけに脂のノリが良いかどうかがポイントになるようです。

しかし忘れてはいけないことは、身体に良いとはいっても脂肪は脂肪なので、エネルギーはしっかり供給されるということです。何事も「食べ過ぎ」は厳禁です。

DHA・EPAの上手な摂り方

DHAやEPAは魚の脂肪に含まれる成分ですから、あっさりとした白身魚よりも脂肪が多めの魚から摂りやすいことがわかります。

同じ魚であってもまぐろなら、赤身よりもトロや中トロのように脂の乗った部位の方が摂りやすいということです。

油脂部分は高温加熱をすると溶け出してしまうので、溶けた後も煮汁をそのまま食べることができる煮魚のような食べ方であれば損失は少ないでしょう。

また調理損失を抑えたいのなら刺身で食べるのがオススメです。

ただし、n-3系多価不飽和脂肪酸には「酸化されやすい」という弱点があります。酸化された油脂はかえって身体に悪影響です。

そのためには抗酸化作用があるビタミンA、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンEを含む食品と一緒に調理をするのが良いでしょう。

例えば抗酸化作用を持つビタミン類が豊富なカボチャと一緒に、ソースごと召し上がることができるようなグラタンにすれば調理による流出も少なく酸化も防ぐことができます。

カボチャに限らず、緑黄色野菜との組み合わせは抗酸化作用が期待できるでしょう。

DHA・EPAとは?その栄養・効果効能&多く含まれる魚と上手な摂り方・調理方法など まとめ

管理栄養士のチカさん

DHAやEPAを健康のことを考えて美味しく召し上がっていただくために、魚と緑黄色野菜の組み合わせを提案しました。

魚も野菜も旬のある食べ物です。何か決まったものばかりではなく、ぜひその時々の旬の食材を選んでいただき美味しく、楽しく召し上がっていただきながら生活習慣病予防に活かしていただけたらうれしいです。

また普段のお食事でお魚を敬遠しがち、お肉に偏りがちな方にはぜひ食生活を見直していただきたいチャンスです。

もし魚料理の方法がわからなくて敬遠しているのだとすれば、まずはぜひお刺身から取り入れてみてください。調理の心配はいらないばかりか、効率的にDHAやEPAを摂ることができますよ。