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コレステロールが高いことによる症状と病気
血液中のコレステロール値が高すぎると良くないというのは、もはや周知の事実ですが、どうして良くないか、ちゃんとご存じでしょうか。なんとなく良くないと思っているだけでは、なかなか生活の改善をして数値を下げようとは思えないものです。「なぜいけないのか」をちゃんと知って、健康体を目指していきましょう。

血液検査の結果の見方

血液検査をすると、実にいろいろな数値が出てきます。血液は全身をめぐるものですので、身体の異常がつぶさに表れるのです。

血中脂質の状況について知ることができる項目は「総コレステロール」「トリグリセリド(中性脂肪)」「HDLコレステロール」「LDLコレステロール」です。

血中脂質の値は検査日前、数日の食事状況が反映されやすいので、一度の検査で基準値を外れたからと言ってすぐさま病気の診断がくだされることはあまりありません。

たいていの場合、再検査という連絡が来て、また別の機会にも調べてみてなお、同じような傾向が見られた場合に、その原因を詳細に探っていくようなことになるでしょう。

総コレステロール値が高い場合

総コレステロールの値が高い場合に疑われる病名には、
脂質異常症や糖尿病、
甲状腺機能低下症、
ネフローゼ症候群、
閉塞性黄疸、
クッシング症候群
などがあります。

ただし総コレステロール値だけで診断せず、他の検査値と総合して判断されます。

HDLコレステロール値が低い場合

HDLコレステロールはいわゆる「善玉コレステロール」ですので、数値が低いことが問題となります。

低い場合に疑われるのが、脂質異常症、メタボリックシンドローム、高血圧症、肝硬変、腎不全、甲状腺機能亢進症などです。

LDLコレステロール値が高い場合

LDLコレステロールは通称「悪玉コレステロール」ですので、値が高いことが問題視されます。

高値で疑われるのは、脂質異常症、メタボリックシンドローム、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、閉塞性黄疸などです。

脂質異常症やメタボリックシンドロームの先にある、動脈硬化を心配する際に最も重要視される指標と言っても過言ではないでしょう。

メタボリックシンドローム

メタボ、メタボとよく耳にしますが、メタボリックシンドロームを肥満だと思っておられる方も少なくありません。確かにメタボリックシンドロームの判定には内臓脂肪の蓄積があるか否かが材料とされるので、全くの誤りではありませんが、太っている方が全員メタボリックシンドロームではないのです。

そもそもメタボリックシンドロームは、その先に待っている生活習慣病の警鐘の意味合いで設定されている基準です。メタボリックシンドロームではまず、腹囲(ウエストのくびれより下のおへそ周りの長さ)が男性で85センチメートル以上、女性で90センチメートル以上であるか否かを見ます。これは内臓脂肪が蓄積していないかどうかを判定するためです。

そのうえで、血中脂質異常・高血糖・高血圧のうち2つ以上があてはまるとメタボリックシンドロームと診断されますが、いずれの基準も「脂質異常症」「糖尿病」「高血圧症」の診断基準よりもやや厳しめの数値が設定されています。

警鐘を鳴らすのが目的なので、完全に生活習慣病になる手前で「このままではまずいことになりますよ」という段階で生活改善をはかろうというものなのです。

血中脂質でいうと、中性脂肪が1デシリットルあたり150ミリグラム以上にあてはまるか、またはHDLコレステロール値が1デシリットルあたり40ミリグラム以下であるという項目のいずれか、もしくは両方に該当すると血中脂質異常となります。

脂質異常症

「脂質異常症」とはその名の通り、血中脂質の状態が正常域を脱している状態を指します。以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、脂質の種類によっては高いことが悪いことではないので、「脂質異常症」という名に変わりました。

脂質異常症にはいくつかのパターンがあります。LDLコレステロールが1デシリットルあたり140ミリグラム以上だと「高LDLコレステロール血症」、HDLコレステロールが1デシリットルあたり40ミリグラム未満だと「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪が1デシリットルあたり150ミリグラム以上だと「高トリグリセライド(高中性脂肪)血症」となります。

血中脂質の異常は動脈硬化の主な危険因子ですので、脂質異常症を放置しておけば動脈硬化のリスクが高まるということです。

動脈硬化
動脈硬化はその名の通り、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われる状態です。動脈の内側にプラークと呼ばれる沈殿物がついてしまったり、血栓と呼ばれる塊が生じて血管を詰まらせたりします。
動脈は心臓から出た血液を全身に運ぶ大切な血管ですので、その血管に支障をきたすと心筋梗塞や脳梗塞といった生命の危機に直結する病気に発展する恐れが非常に高まります。
実際、心疾患と脳血管疾患で亡くなる方は全死因の1/4程度を占めています。ある日突然心疾患や脳血管疾患で倒れるまでは身体の不調は感じにくく、なかなか生活改善をはかれないとは思いますが、血中脂質の異常もなしにある日突然倒れるとは考えにくく、特に年齢を重ねていけば誰しもがそのリスクは高まるのです。

まとめ
検査項目が多いこともあって、血液検査で血中脂質の状態を指摘されることはさほど珍しいことではありません。特に代謝の良かった若い頃と比べれば、あまり食生活を変えたつもりがなくとも、検査にひっかかりやすくなります。
かと言って、どこかが痛いわけでも自覚症状があるわけでもなければ、検査結果を深刻に受け止めることもなく、「たまたまでは?」「まぁ大丈夫だろう」などとすぐに頭から消え去ってしまうかもしれません。
コレステロールが高いことが怖いのはこうした無自覚と、しかしその先に待つものが間違いなく生命を脅かすほどの危険な状況であるということです。それでも身内や身近な方に、同じような兆候があった方はまだ意識をしますが、あてはまらない方だと根拠のない自信で生活習慣の改善から目をそらしがちです。
けれど血液検査の結果はまぎれもないご自身の結果ですので、ぜひ軽視せず受け止めて、早めの対策を立ててください。

コレステロールを下げるには?その方法

現代人にとってはむしろ摂り過ぎが気になる「コレステロール」。CMなどでも盛んに、コレステロールを下げる働きを謳う商品が見られます。コレステロールを下げるのは、そのような商品に頼らなくては難しいのでしょうか?

脂質異常症の食事指導のポイント
血中脂質のバランスが崩れると「脂質異常症」と診断を受けます。病名がついてしまったら医師の指示に従って食事療法を行い、場合によっては薬も飲むことになります。しかし、まだ診断前であれば取り返せます。脂質異常症の食事指導のポイントをヒントに、血中脂質の正常化を目指していきましょう。

ポイント1:適正体重を維持しましょう
体重が多いということは摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているということ。過剰なエネルギー摂取は体内でのコレステロール合成を促進してしまいます。
適正体重の維持には食事の調整と運動の組み合わせがオススメですが、なかなか結果が出ないと厳格な食事制限も、運動習慣も続きません。
男性にオススメなのは、運動を多く取り入れて消費エネルギーを増やすこと。男性の肥満には内臓脂肪のつきやすいタイプが多く見られます。生活習慣病で問題となりやすい脂肪ですが、実はダイエット効果を感じやすいのは内臓脂肪型の肥満です。内臓脂肪は落ちやすいので、エネルギーの消費量を増やすと効果を実感しやすく、また女性よりも筋肉の多い男性の場合、消費エネルギーを増やしやすいので、運動習慣によって筋肉を増やし基礎代謝量を上げると適正体重を維持しやすいでしょう。
女性の場合は皮下脂肪がつきやすいという特徴があります。皮下脂肪は身体を守る役割もあるため、なかなか落ちにくいもの。ですから運動だけでコントロールしようと思わずに、食事制限を上手に行うことが大切です。

ポイント2:栄養のバランスを考えて、3食規則正しく食べる
1日3食を規則正しく食べるのは、栄養の偏りが出にくいばかりか、消化吸収をする身体にとっても負担が少なく理想的。栄養のバランスを整えるのが難しければ、「主食・主菜・副菜をそろえること」と、「いろいろな食品を食べること」を守ればOK。特に1日のスタートである朝食は忙しくておざなりになりがちですが、朝食では多少食べ過ぎても、1日の中で活動を活発にすればエネルギーを消費できます。また朝食をしっかり食べることで昼食の食べ過ぎを抑えることにもつながりますので、朝食習慣を見直してみましょう。

ポイント3:気をつけたい食品
脂質の摂り過ぎには気をつけたいので、肉の脂身やコレステロールを多く含む魚卵類の食べ過ぎには注意しましょう。積極的に摂りたいのは、野菜や海藻類、そしてきのこ類。食物繊維をしっかり摂って、血中コレステロールの低下を目指しましょう。
またアルコールの摂り過ぎにも気をつけましょう。

サプリメントってどうなの?
食事制限はイヤ、運動は続かない、もっと楽にどうにかならないのかと考えると、ふと目に飛び込んでくるCM。今はコレステロール低下を謳うサプリメントも少なくありません。サプリメントってどうなのでしょうか。
特定保健用食品のマークがつけられているようなものであれば、国がその効果を認めたものという証ですので、決して口にするなと言うようなものではありません。でも正直なところオススメではないのがサプリメント。
サプリメントは「栄養補助食品」です。薬ではなく、あくまでも食品であるということを忘れてはいけません。薬と食品の大きな違いは効果・効能を謳うことができるかどうかという点です。食品で治療はできません。サプリメントを使用することで「これを飲んでいるから大丈夫」と油断してしまうようでは、かえって状況が悪化することも。サプリメントで謳っているコレステロールを下げる機序は、結局のところ正しい食事習慣によって成立するものなのです。一度習慣づけてしまえば、わざわざサプリメントを使用する必要なんてありません。ずっとサプリメントを飲み続けるのか、一度きちんと習慣づけを行うのか。どちらがご自身のためになるか考えてみたら、答えは簡単です。

良い習慣を簡単に続けるコツ
食事制限は難しく考えず、時には市販品も上手に使えば、簡単に継続することができます。たとえばコンビニエンスストアでお弁当を買うのを止めて、おにぎりとお惣菜とカット野菜にしてみると、同じように主食・主菜・副菜がそろった食事でも簡単に野菜の摂取量を増やすことができます。今はレンジで温めるだけの焼き魚なども売られていますので、お肉ばかりでなく時にはお魚もチョイスして、上手にDHAやEPAといった脂肪酸も摂取しましょう。コンビニで上手に利用したいのが「おでん」。おでん種は選び方によって大きな差がでます。大根やこんにゃく・しらたきといったものを選べばエネルギーは抑えて食物繊維が摂れ、なおかつお腹は満たされるので優れものです。昆布も水溶性食物繊維が摂れますので良いでしょう。
エネルギーのことを考えるのであれば、ぜひ意識していただきたいのが飲み物。皆さんは食後にコーヒー・紅茶・カフェラテが選べますと言われたら、無意識にカフェラテを選んでいませんか? コーヒーや紅茶はブラックやストレートで飲む分にはほぼエネルギーの心配はいりません。カフェラテは一日に数回飲んでしまえば、知らず知らずのうちにエネルギーの蓄積になっています。お水やお茶を飲む機会を増やし、飲み物からのエネルギー摂取を控えると、エネルギーコントロールは楽に行えます。

お料理をなさる方は
ご自身でお料理を作られる方や、作ってくださる方がいらっしゃる方は市販品でなくても毎日の食事で調整ができますね。副菜のバリエーションを持っておくと良いでしょう。また主菜でお肉やお魚だけでなく野菜や海藻類・きのこ類と合わせたメニューにしていくと、自然と食物繊維の摂取量は増えます。野菜であれば、目標は1日350グラム以上食べること。これは副菜でいえば小鉢5皿程度に相当します。副菜をそんなに作れないという方はぜひ主菜にも野菜を取り入れてみてください。
また使える食材の一つに寒天があります。寒天の原料は海藻である「てんぐさ」。エネルギーの心配はなく、水溶性の食物繊維が摂れます。寒天はデザートばかりではなくお料理にも使えます。たとえばドレッシングを寒天で固めてジュレ風にかけてみたり、汁物の具にそのまま入れてみたりできるような寒天もあります。暑い時期にはゼリー寄せのようなものを寒天で作ってみるのもいいですね。寒天は常温でも固まりますし、一度固まると溶けにくいのでお弁当に入れても大丈夫です。適度な噛み応えがあって、噛むことで満腹感が増すのも嬉しい効果です。

まとめ

結局のところ、コレステロールを下げることだけをターゲットに生活改善を行うのは難しいものです。言い方を変えればちょっと意識を変えさえすれば、コレステロールばかりではなく、肥満やその他の生活習慣病からも遠ざかった生活が送れるようになるということ。
コレステロールを下げることばかりを考えて、目の前の商品に飛びつくのではなく、長く継続できる健康習慣を身につけて、さまざまな生活習慣病を寄せ付けない健康な身体を手に入れることをオススメします。

この記事を書いた人

管理栄養士のチカさん
管理栄養士のチカさん
1999年に管理栄養士の資格を習得。
現在フリーの管理栄養士として、食関連資格教材作成、専門学校講師、栄養講話講師などの仕事をしています。
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